医学物理業務と研究活動
2000年初頭に米国より始まった「科学的にがんの治療方法を評価する手法(Evidence-based Medicine)」の導入以降、がん医療における高精度放射線治療の重要性は正しく認識され、がん標準治療としての地位を確立しつつあります。これに伴い、世界的規模で医学物理学に精通した人材が求められてきました。
日本においては、平成20年度診療報酬改定における放射線治療関係の主要事項(医療機器安全管理料2に関する施設基準)のなかに 「放射線治療に係る医療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を専ら担当する技術者」の必要性が明記されました。
東大病院をはじめ全国各医療施設で、医学物理士もしくはそれと同等な医学物理学に精通した人材の雇用と育成が進められています。
医学物理士の臨床業務
医学物理士および医学物理コース所属の大学院生は、医師・診療放射線技師らと協力して以下の臨床業務を分担します。
- 治療装置及び支援システムの品質管理
- 治療計画の立案
- 治療計画の検証
- 放射線治療機器及び周辺機器のコミッショニング
- コンピュータ・ネットワーク管理
- カンファレンスや回診への参加
- 訪問者・見学者への解説
医学物理学の研究開発
臨床業務と並行して以下の医学物理研究を進めています。 Elekta社、 Accuray社、 Philips社 など、メーカ各社と共同研究をする事もあります。
- Deformable Image Registrationの開発
- 適応型放射線治療(Adaptive Radiation Therapy)
- 4次元(4D)Cone-Beam CT再構成プログラムの開発と応用
- 4D VMAT-CTの開発
- VMAT中に撮像されたCone-Beam CTによる臓器位置変動解析
- VMAT中に取得されたリニアックパラメータによる線量解析
- 外照射併用I-131内用療法に対する線量分布
- 外照射併用Brachy therapyに対する線量分布
- 外照射併用組織内照射に対する線量分布
- 320列4D CT及び4D-CBCTによる動体解析とその放射線治療への応用
- Cone-Beam CT線量に対する計算システムの開発
- ガンマナイフにおける照射野外被ばくの研究
- 医療ビッグデータと機械学習による新治療支援システムの構築
- 核種弁別を可能にする画像再構成と粒子線治療への応用
- 拡散方程式を用いた腫瘍発展の数理モデル
- 生体中の線形輸送方程式