緩和照射(当日対応可能)

近年は治療装置や技術の発展に伴う放射線治療の高精度化が脚光を浴びていますが、放射線治療の主要な役割の一つに緩和医療分野における緩和照射があります。

がんに伴う症状緩和目的の放射線治療は欠かすことのできない治療オプションであり、具体的な利用目的としては骨転移/神経浸潤などによる疼痛の緩和、喀血・下血・膀胱出血などの腫瘍出血に対する止血、閉塞性腫瘤病変の改善、脊髄圧排病変の改善など多岐に渡ります。すべての緩和的放射線治療のスケジュールとしては30Gy/10fr(1日1回3Gyを10日間実施する方式)、20Gy5Fr、8Gy/1Frを使用しています。

<医療機関の方へ>

緩和的放射線治療を希望される際は、当院地域医療連携センターより御予約ください。詳しくはこちら(https://www.h.u-tokyo.ac.jp/participants/shoukai/

当日の要望でも対応可能な1回終了の緩和照射

特に骨への転移は頻度が高く進行期前立腺癌においてはその7割にもおよぶとの報告もあります。直接的な死因となることは多くないかもしれませんが、難治性の疼痛や病的骨折の原因となるため速やかな治療が必要となります。近年においては単回照射(1日1回8Gyを1日間実施する方式)でも30Gy/10frと同等の疼痛緩和効果が得られることが明らかとなってきています。一般に放射線治療科診療の流れは初診時に診察や検査をさせていただき放射線治療用の計画CTを撮像します。ここで撮像されたCTデータをもとに放射線治療計画を専用ワークステーションで行い、最終的に患者様の病変に対して放射線治療を実施していきます。このため初診から実際に放射線治療を実施するまでには数日を要することが一般的です。

放射線科(治療)における治療までの流れ

初診+CT

準備

治療

治療の方針や方法を説明します。
治療計画用のCTを撮像します。

専用のワークステーションで治療計画を行います(数日)。

計画時のCTと同じ体勢で照射します。治療は平日は毎日、週5回行います。
1回の治療時間は10分程度で痛みはありません。

オリゴ転移に対する体幹部定位照射を開始

2020年4月の診療報酬改定でオリゴ転移に対する体幹部定位放射線照射が保険適応となりました。オリゴ転移とはがん治療において少数(1~5個)の転移を形成した状態を表します。

一般に遠隔転移があるとステージIVと診断され延命を目的とした全身療法が行われます。しかしオリゴ転移の状態であれば、定位放射線照射のような適切な局所治療を加えることで長期生存が可能になることが明らかになってきています。定位放射線照射はピンポイント照射とも呼ばれ、高精度な放射線治療装置を用いて、周囲の正常組織への線量を抑えながら対象とする病巣に対し高い放射線量を集中させる根治的放射線療法です。従来の放射線治療よりも高い線量を1度に照射することができるため、5-10回程度の少ない通院回数で治療が完結します。

当院でも5個以内のオリゴ転移に対する定位放射線治療を積極的に実施しています。

オリゴ転移に対する体幹部定位放射線治療の例