2018/12/27 「各種疾患に対する放射線治療効果についての後ろ向き研究」 へのご協力のお願い
ご存知の通り、日本人の平均寿命は毎年延びており、これは世界的にも特筆すべきもの です。それとともに日本はかつてない高齢化社会が構築されつつあります。
生物は日々遺伝子の情報に基づいて細胞分裂を繰り返しているわけですが、長生きをす るということは、この細胞分裂の回数がより多くなるということになります。細胞分裂で はごく稀に間違いを起こすのですが、それを修復する機構も備わっています。ただし、長 生きをして細胞分裂の回数が多くなればなるほど、間違った分裂を起こす確率も高くなり、 その間違いを修復する機構を潜り抜けてしまうものも出てきてしまいます。これが「がん」 となってしまうのです。もちろん、がん発生の機構はこれだけではありませんが、戦後の 生活環境の変化とともに、現在の日本人の死因の第一位は悪性新生物、いわゆる「がん」 となっています。現在、日本では二人に一人が生涯において「がん」に罹患していること がわかっており、それだけがん治療は大変重要な分野と言えます。
がんの治療法は大きく 3 つに分けられます。手術、抗がん剤、放射線治療です。私たち の科では放射線を利用してがん細胞にダメージを与え、腫瘍の縮小・消失、疼痛の緩和な どを行っています。このほかにも、ケロイドに対する照射など、いくつかの良性疾患に対 しても放射線治療が適応となっています。 こうした放射線治療の結果を後から振り返り、どのような治療効果を得られたのか、ま たどのような副作用が発生したのかについて調査・解析を行って今後の治療法の改善を図 りたいと考えています。
具体的には当科で放射線治療を行った方を対象とし、治療前・治療中・治療後の各種カ ルテ情報を調査し、治療効果(生存率、無増悪生存率、局所制御率、再発率)や副作用に ついて解析します。 カルテ情報には、画像検査(CT, MRI, PET など)・内視鏡検査・生理検査・採血検査(血 算, 生化学, 凝固, 腫瘍マーカーなど)・放射線治療録(3 次元線量分布図、ライナックグ ラフィー:実際に照射された範囲を確認するレントゲン写真、照射録)が含まれます。
この研究にご協力いただくかどうかは、研究参加者の皆様の自由意思に委ねられていま す。もしこの研究の参加をご希望されない場合は当科へご連絡下さい。なお、研究にご協 力いただけない場合にも、皆様の不利益につながることはありません。研究期間中にご本 人の申し出があれば、いつでも資料等及び調べた結果を廃棄します。
この研究に関わる成果は、他の関係する方々に漏えいすることのないよう、慎重に取り 扱う必要があります。あなたの情報・データは、分析する前に氏名・住所・生年月日など の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上 で、当研究室において厳重に保管します。
研究の成果は、あなたの氏名など個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発 表や学術雑誌及びデータベース上等で公表します。 この研究は、過去の診療記録を用いて行われますので、該当する方の現在・未来の診療 内容には全く影響を与えませんし、不利益を受けることもありません。解析にあたっては、 個人情報は匿名化し、その保護には十分配慮致します。 カルテから得たデータは、この研究のためにのみ使用します。 研究終了後、データはすべて破棄します。
今回の研究に必要な費用について、あなたに負担を求めることはありません。 なお、あなたへの謝金のご用意はありません。 この研究は、東京大学倫理委員会の承認を受けて実施するものです。なお、この研究に 関する費用は、東京大学大学院医学系研究科生体物理医学分野中川研究室の運営費(委任 経理金)から支出されています。ご意見、ご質問などがございましたら、お気軽に下記ま でお寄せください。なお、本研究は当院の倫理委員会の承認を得ております。また、この 研究への参加をお断りになった場合にも、将来にわたって当科における診療・治療におい て不利益を被ることはありませんので、ご安心下さい。
2011 年 2 月 18 日 【連絡先】 研究責任者:山下英臣 〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学大学院医学系研究科 放射線医学講座 Tel:03-5800-8667 Fax:03-5800-8786
現在行っている研究 研究名「前立腺癌放射線治療におけるハイドロゲルスペーサーの有用性の検討」
当院で前立腺癌放射線治療を受けた患者様のCT画像を用いて、線量分布の改善と臓器移動抑制効果があるかを検討します。
研究責任者:扇田真美 東京大学医学部附属病院放射線科
住所:東京都文京区本郷7-3-1 電話:03-5800-8667 FAX:03-5800-8786