片野講師の英語論文がHead and Neckに掲載されました。
局所進行下咽頭癌の根治照射における先行頸部郭清の意義
Head and Neck
DOI: 10.1002/hed.27839
(in press)
背景:
下咽頭扁平上皮癌の治療には化学放射線療法が実施されているが、照射前の先行頸部郭清術(upfront neck dissection: UND)の予後に対する役割は明確にはなっていない。本研究は、局所進行下咽頭癌における根治的放射線療法に対するUNDの影響を調査することを目的とした。
方法:
2007年1月から2023年6月までに当科で治療を受けた局所進行下咽頭扁平上皮癌の連続した患者を対象とした。治療線量として、原発および転移リンパ節に対し70 Gyを35回分割で放射線治療を実施した。患者は、根治的放射線療法(Definitive RT; dRT)[放射線療法単独または化学療法併用]とUND-dRT(外科的頸部郭清術後の放射線療法)の2つのグループに分けて解析し、全生存率および局所制御率の独立予後因子を調査するために、単変量および多変量解析を行った。
結果:
本研究には主に男性(109/115)で、中央値年齢66歳の115人の患者が含まれていた。当院における局所進行下咽頭癌(Stage III-IV)の全患者の放射線治療成績は、3年生存率および局所制御率がそれぞれ63.8%であった。各臨床病期における3年生存率(OS)は、III期で78.9%、IVA期で60.7%、IVB期で48.1%であった。UND群には明らかにN病期が進行した症例が多く含まれていた。多変量解析の結果、UNDは全生存率および局所制御率の改善と有意に関連する独立因子であることが示された。
結論:
本研究は、局所進行下咽頭癌に対する治療において根治的放射線療法と併用したUNDが予後に良好な影響を及ぼす可能性を提示した。