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放射線治療とは

放射線治療とは、手術・抗がん剤と並ぶ、悪性腫瘍の治療法です。放射線治療に関する参考資料は下記サイトにてご覧ください。

・日本放射線腫瘍学会(https://www.jastro.or.jp/

がん治療の3つの柱

手術療法

放射線療法

化学療法

東京新聞2008年3月30日付サンデー版掲載 「がんの放射線治療」

東京新聞2008年3月30日付サンデー版掲載 「がんの放射線治療」
がんの放射線治療 大図解(PDF)

放射線治療のススメ

米国ではがん患者の6割が放射線治療を受けているなど、「がんの半分は放射線治療」は世界の常識です。しかし、わが国では、がん患者さんの4人に1人が放射線治療を受けているにすぎません。日本のがんの代表が胃がんであったことが、「がん治療=手術」という図式の 背景にあるのでしょう。

しかし、がん治療の選択を取り巻くこうした状況は随分変わってきました。 生活習慣の欧米化によって、胃がんや子宮頸がんなどの「感染症型」のがんが 減り、肺がん、乳がん、大腸がん、前立腺がん、など「西洋型」のがんが増加 しています。こうしたがんは、「切れば終わり」ではなく、放射線治療の役割 が大きいのです。告知はするのが当たり前になり、患者さんに嘘をついて放射線をかける必要もなくなりました。さらに、科学的にがんの治療方法を評価する手法"Evidence-based Medicine(EBM)"が広まった点も、放射線治療が正しく位置づけられつつある理由です。

こうした背景から、放射線治療の患者数は急増しています。10年後には、 がん患者の半数が放射線治療を受けることになります。そのころには、国民の半数が、がんになりますので、実に、日本人の4人に1人が放射線治療をする計算になります。とても人ごとではないことが分かると思います。

放射線治療の特徴はがんを切らずに治し、臓器の機能や美容を保つ点にあります。たとえば、喉頭がんは、手術をしても、放射線治療をしても、治癒率はかわりませんが、放射線治療が選択されます。手術をすれば、声を失うことになるからです。乳がんは、かつて、乳房とその下の筋肉を根こそぎ切り取る手術方法が 主流でした。しかし、今は、わずかに腫瘍の周辺をえぐって、乳房全体に放射線をかける、乳房温存療法が主流となっています。この方法ですと温泉にも安心して 行けるでしょう。直腸がんが肛門の近くにできると人工肛門となる危険がありますが、手術の前に放射線をかけることで、そのリスクを減らすこともできます 。喉頭がんや直腸がんは、臓器の機能の温存の例、乳房温存療法は、美容を保つ例と言えるでしょう。

このホームページが皆様の人生に有益でありますように。

東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川恵一

よくある質問

前立腺癌や子宮頸癌で外科の先生から、手術療法であれば再発した時に放射線治療を施行できるが、最初に放射線治療をしてしまうと再発時に手術が出来ないというデメリットがあると言われました。本当でしょうか?

少し誤解を生む言い方だと思います。まず第一に前立腺癌でも子宮頸癌でも手術療法と放射線療法で成績(生存率)が同じというのは、再発に対する治療も含めての成績です。つまり、術後に再発して放射線治療を追加した症例も手術群に含まれています。言い換えますと、手術群では術後に再発した場合さらに放射線が必要になってしまうデメリットがあると言えます。第二に、最近では前立腺癌でも子宮頸癌でも照射後の再発に適応があれば積極的に手術を施行するようになってきています。